7月5日ツール・ド・フランス結果
第100回ツール・ド・フランスは、7月5日にモンペリエからアルビまでの205.5kmで第7ステージを競い、マイヨ・ベールを着たスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)が集団ゴールスプリントを制し、ついに今大会1勝目を上げた。2位はジョン・デゲンコルプ(アルゴス・シマノ)、3位はダニエーレ・ベンナーティ(チームサクソ・ティンコフ)だった。アフリカ大陸出身の選手として初めてマイヨ・ジョーヌを着たダリル・インピー(オリカ・グリーンエッジ)は区間12位になり、総合首位の座を守ることができた。この日は中盤にあったカテゴリー2のクロワ・ド・ムニス峠で、マーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)、アンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)、マルセル・キッテル(アルゴス・シマノ)といったピュアなスプリンターが集団から脱落。サガンのキャノンデールチームはその好機を逃さず、集団を引きまくってタイム差を広げたため、スプリンターの集団は結局15分近く遅れてゴールした。この集団には、地元フランスのトーマ・ボークレール(ヨーロッパカー)も入っていた。
第7ステージは190選手がスタート。前日のレース終盤で落車してヒザを負傷したスロベニアのヤネシュ・ブライコビッチ(アスタナ)が出走しなかった。この日も11km地点で落車かあり、クリスティアン・バンテベルデ(ガーミン・シャープ)、ナイロ・キンタナ(モビスターチーム)、エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ)、ダニエル・モレノ(カチューシャ)が巻き込まれた。前日にも落車して負傷していたバンデベルデは、レースを続けることができなかった。この日、序盤からアタックしたのは41歳で今大会最年長選手のイェンス・フォイクト(レディオシャック・レオパード)だった。すぐに地元フランスのブレル・カドリ(AG2R・ラモンディアル)が合流し、2人は27km地点で集団に最大で6分40秒差を付けて逃げ続けた。第2ステージでも逃げたカドリはすでに山岳ポイントを5ポイント持っていたため、80km地点のカテゴリー3の峠で2ポイント、94.5km地点のカテゴリー2のクロワ・ド・ムニス峠で5ポイントを稼ぎ、山岳賞総合成績でピエール・ロラン(ヨーロッパカー)を抜いてトップになった。マイヨ・アポワを着たロランは、クロワ・ド・ムニス峠を3位で通過し、2ポイントを稼いでジャージを守ろうと試みたが、カドリのチームメートであるロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)に阻止されてしまった。集団の先頭でマイヨ・アポワ争いが行われていた時、後方ではスプリンターたちが脱落。その好機を逃すまいと、キャノンデールチームが集団の先頭を引いてスピードを上げたため、100km地点でカドリとフォイクトとの差は35秒にまで縮まり、グライペルの集団は1分遅れ、カヴェンティッシュのグループは2分遅れになってしまった。結局カドリは107km地点で、フォイクトは108km地点でメイン集団に吸収された。
135km地点の中間スプリント地点をサガンが先頭で通過して20ポイントを稼いだあと、集団からヤン・バークランツ(レディオシャック・レオパード)がアタック。フアンホセ・オロス(エウスカルテル・エウスカディ)とシリル・ゴチエ(ヨーロッパカー)が合流して3人で逃げ続けた。しかし、逃げ切ることはできず、ゴールまで残り2.8kmで集団に飲み込まれてしまった。最後のゴールスプリントは、デゲンコルプが早めにスプリントを開始したが、残り200メートルでその後ろから飛び出したサガンがあっさり抜き去って勝利を手中に収めた。サガンは初日の落車の影響があってスプリントで勝てず、区間2位に3度なっていたため、やっと勝利を手にしてホッとしたようだった。「これはボクたちがチームとしてどれだけ強いかを示すショーだった。全員が1つの目標のために団結して、みんながボクを信頼してくれている。彼らはボクのために全力を尽くしてお膳立てをしてくれた。彼らはボクが上手くやりたいのを知っているからだ」と、サガンはいつものようにチームへの感謝を忘れなかった。「ボクにとって理想的なステージではなかったけれど、ボクは努力し続けた。チームメートたちはボクが頼んだ以上の仕事をしてくれたよ。ボクたちは2つめの峠(クロワ・ド・ムニス)でたくさん働いて、スプリンターたちを脱落させた。そしてチームは自分たちがうまくやれると思い始めたんだ。ボクは“中間スプリントまで引こう、そうすれば楽になる”と、言ったんだ。そこからゴールまでは他のチームがリードしてくれると思ったんだ。けれどチームメートたちはそれが理解できなくて“どうして仕事を続けないでスプリンターたちを待たなければならないんだ”と言って、また先頭に戻って仕事をしたのさ」
週末はいよいよピレネー山脈に突入。6日はキャストルからアクス・トロワ・ドメーヌまでの195kmで、今年最初の頂上ゴールとなる第8ステージが行われる。序盤はカテゴリー4の丘が1つあるだけでほとんど平坦だが、後半にアンリ・デグランジュ賞がかけられた標高2100メートルでカテゴリー超級のパイエール峠を越えたあと、標高1375メートルでカテゴリー1のアクス・トロワ・ドメーヌでゴールする。最後の登坂は7.8kmの距離で平均勾配8.2%だ。チームスカイのチームマネーシャー、デービッド・フレイルスフォードは「ボクシングに例えたら第1ラウンドだ」と、主催紙レキップのインタビューで語っている。(Map:ASO)
3 ダニエーレ・ベンナーティ(チームサクソ・ティンコフ/イタリア)
5 エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー)
6 フランチェスコ・ガバッツィ(アスタナ/イタリア)
7 トニ・ガロパン(レディオシャック・レオパード/フランス)
8 アルチュール・ビショー(FDJ.fr/フランス)
9 マヌエーレ・モーリ(ランプレ・メリダ/イタリア)
10 シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ/フランス)
12 ダリル・インピー(オリカ・グリーンエッジ/南アフリカ)
165 トーマ・ボークレール(ヨーロッパカー/フランス)+14分53秒
■第7ステージまでの総合成績
3 サイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)+5秒
4 ミヒャエル・アルバズィーニ(オリカ・グリーンエッジ/スイス)+5秒
7 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+8秒
8 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+8秒
86 トーマ・ボークレール(ヨーロッパカー/フランス)+16分13秒
[各賞]
■山岳賞:ブレル・カドリ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
■チーム成績:オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)
新城選手が第7ステージと総合順位のタイムが+3分47秒と同じだという。