JR西、3地域鉄道部廃止へ 来月1日、山口支社を新設


西日本旅客鉄道株式会社 2019年5月9日付)※現在はリンク切れになっている。

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山口支社言えども、中身は地域鉄道部の統廃合を行うだけ。

 JR西日本広島支社管轄で、山口県内の鉄道路線を管轄する地域鉄道部を廃止(山口・徳山・下関。長門は存続)し、山口支社と呼ばれる独自の地域支社(広島支社の下位組織)を6月1日から発足させる方針を打ち出している。

 JR西日本の公式ページを見てみたが、リンクが削除されており、「山口が独立することで、今以上にダイヤが貧弱になって鉄道が廃止されるのでは?」といった陰謀論を考えてしまった次第である。確かに広島都市圏に偏ったダイヤを打ち出す広島支社の束縛から解放されるのは、一見すると地域経済の発展という側面からしてメリットもあるが、反面、地域支社が独自に鉄道事業を行う以上、現実的なダイヤに見直されるのは想像するに容易い。

 山口県内のJR線は、お世辞にもどこも満足に利用できるようなダイヤにはなっていない。要の山陽線も1~2時間に1~3本程度、それでいて4~2両編成で国電115系の使い回しに徹するなど、乗り潰しをするには大変過酷な環境となっている。加えて、元々山口県内は自動車交通に依存した土地柄であり、JR線の維持よりも高速道路・バイパス道路の建設を優先する以上、必ずしも鉄道輸送がメインとは言いがたい。宇部線がBRT(バス高速輸送システム)への転換を自治体レベルで主張するなど、もはや「鉄道あってのJR」というイメージとは程遠いと認めざるを得ないのが現実だろう。

 山口支社として独立した後に考えられることとしては、

【利便性向上】
  • 山口県内への観光誘致を進めるタイアップ(SLやまぐち・観光列車「はなし号」などの増発による、インバウンド・比較的時間的に余裕のある顧客をターゲットにした、観光産業の強化)
  • 一定の乗客数があるに関わらず、バリアフリーを無視した駅舎は、設置されている自治体と協議した上で改築。
  • ICOCA導入によるキャッシュレスの半義務化
【運行ダイヤ・鉄道サービスの見直し】
  • 現在のダイヤを大幅に見直し、朝夕ラッシュ時を除いて、完全なワンパターンダイヤ(例:1時間に1本・00分台に始発駅をスタート)に本数調整。
  • コスト削減を図るため、朝夕ラッシュ時を除いて、原則2~1両編成で固定化。
  • みどりの窓口を積極的に廃止し、みどりの券売機プラスに置き換えるなどして、人員配置を見直し(スマート・サポート・ステーションの導入を半義務化)。今以上に無人化を加速。
  • 鉄道輸送に向かない地方交通線は、自治体と協議した上でBRT転換・高速バスへの転換を図る形で縮小。

 といった具合になるのではないかと。

 窓口閉鎖の話に関しては、JR西日本の定例記者会見の中でも「中長期的に窓口を廃止し、窓口業務の代わりにホームでの監視・案内を積極化する」との見解を示していることから、山口県内でも例外なく実施されるのは確実。現在営業している委託を含めた有人駅も、これから先は新幹線駅と岩国・下関を除いて無人化、あるいは在来線側に限って委託化を進めるとみている。

 独立して地域支社が誕生(と言っても、なぜか広島支社の下位組織に山口支社を設置するという、謎めいたトロイカ体制に)する以上、今よりもサービス向上をと考えるところだが、そこは現実を勘案して単に組織再編を行う程度のモノだろう。自分の場合は、確実に山陽線ICOCAが使えるようにして欲しいのが一番の望みであり、電車に関しては昭和時代で時計の針が止まったままになっても仕方が無いと思っている。