脱線事故車両、社員教育活用へ 全7両保存し


2005年に兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故の車両について、JR西日本の来島達夫社長は17日、7両全てを保存し、来年度以降の社員教育に活用する意向を明らかにした。また、来年4月の追悼慰霊式を、今年9月に完成した現場の慰霊施設「祈りの杜(もり) 福知山線列車事故現場」で初めて営むことも明言した。
 同県伊丹市のホテルで160人が出席した非公開の被害者説明会があった。終了後に来島社長が記者会見し、「事故車両は安全を守るための大事な物。どこに保管するかも含めて方向付けし、社員への安全教育も進めたい」と述べた。
 同社関係者によると、事故車両のうち、大破し、被害者救出のため現場で解体された1~4両目は同県高砂市内にあり、5~7両目は大阪市内にある。遺族の間でも現場での一般公開を求める声や、反対する声があり、最終的な保管場所は決まっていない。
 来年4月の慰霊式について同社は、つらい経験を思い出し、現場に近付けない遺族らのために近くのホテルに式典を映したモニターを設置する。妻が重傷を負った同県川西市の中島正人さん(55)は「現場は事故を伝え、物語る場所だが、近付くと心が不安になる人もたくさんいるので十分な配慮を」と注文した。



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