碓氷峠の廃線レール切断 工具で5カ所 安中市は被害届提出へ


廃線となった旧JR信越線横川―軽井沢駅間の碓氷峠安中市松井田町坂本)で、線路のレールなどが切断されていたことが7日、分かった。線路やトンネルを所有する同市は近く群馬県警安中署に被害届を提出する。

◎過去には銅製電線盗まれる被害も

 市によると、現場は同区間(全長11キロ)の新線下り線第9号トンネル出口付近で、横川駅から約8キロ。レール2本が長さ約5メートルの範囲で計5カ所、工具を使うなどして切断されていた。枕木とレールを固定するボルトが5カ所で外され、線路脇の高さ約2メートルの位置にある通信ケーブルも1カ所切断されていた。

 3日深夜に現場近くを通った市民が不審な車両を目撃し、4日午前、市に伝えた。観光課の職員が同日、現地へ行き、被害に気付いた。現場には工具や、重機が通ったとみられる跡もあったという。

 近くを通る国道18号(旧道)から現場までは約50メートルにわたって作業道があり、途中には道をふさぐガードレールが設置されていたが、壊されていた。廃線区間は原則、立ち入り禁止となっている。

 同区間では2007年と13年に、トンネル内などで銅製の電線が切断されて計約9トンが盗まれる被害があった。同課の萩原弘課長は「警察と連携し、見回りなどを強化したい」と話した。

 地元は廃線を鉄道遺産として観光誘客に力を入れているだけに、関係者から憤りの声が上がった。市観光機構は貴重な線路を楽しんでもらおうと、昨年からウオーキングイベントを開催。当時を懐かしむ鉄道ファンや家族連れが約300人参加した。同機構の上原将太さん(27)は「当時働いていた人やファンにとって歴史ある場所。私たちも時間をかけて整備してきたので悲しい」と肩を落とした。

 旧JR信越線横川―軽井沢駅間は長野新幹線の開業に伴い、1997年9月に廃止された。横川駅から旧熊ノ平駅間は遊歩道「アプトの道」として整備され、多くの観光客が訪れている。


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