7月6日ツール・ド・フランス結果

 
 
【ツール速報】ピレネー山岳初日にフルームが圧勝でマイヨ・ジョーヌを獲得
 
第100回ツール・ド・フランスはいよいよピレネー山岳区間がスタート。7月6日にはキャストルからアクス・トロワ・ドメーヌまでの195kmで第8ステージが競われ、総合優勝の最有力候補である英国のクリストファー・フルーム(スカイ)がライバルたちに大差を付けて区間優勝し、念願のマイヨ・ジョーヌを獲得した。
 
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フルームはスキーリゾート地のアクス・トロワ・ドメーヌの上り坂で、先行していたコロンビア人クライマーのナイロ・キンタナ(モビスターチーム)をゴールまで残り5.3kmで捕らえた直後にアタックして独走を開始したが、このときすでにメイン集団はスカイ軍団の加速でバラバラになっていた。この日はゴールへの登坂の前に、標高2100メートルでカテゴリー超級のパイエール峠越えがあり、キンタナはここで集団からアタックし、先頭で山頂を通過した。スカイ軍団は、この今年最初のカテゴリー超級では、ベラルーシのバシリ・キリエンカと英国マン島出身のピーター・ケンユックが先頭をコントロールし、キンタナとの差を1分以内に保った。ここですでにマイヨ・ジョーヌを着た南アフリカのダリル・インペイ(オリカ・グリーンエッジ)や、昨年のジロウイナーのライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ)は集団から脱落していた。そして7.8kmつづいた最後のアクス・トロワ・ドメーヌの上り坂では、今年のパリ~ニースで総合優勝したオーストラリアのリッチー・ポートが、エリート集団の先頭でフルームの機関車になり、先行していたキンタナを追い続けた。それはまるで、昨年のフルームが山岳でブラッドリー・ウィギンスを引いていたのと同じ光景だった。ポートのスピードに耐えられず、エリート集団からはビッグネームが次々と脱落していった。アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)は、ロマン・クロイツィーゲルに引かれて終盤までスカイの2人の後ろにつき従い、そこにはアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)もいた。しかし、ゴールまで残り5.5kmで、ポートがキンタナの後ろ姿を視界に捕らえたとき、コンタドールはクロイツィーゲルのスピードにすら付いて行けずに遅れ始めた。彼はフルームのアタックに応えることができず、結局この日だけで1分45秒を失ってしまった。
 
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奇しくも南アフリカのインペイからマイヨ・ジョーヌを引き継いだケニア生まれのフルームは「簡単ではなかったが、最初の山岳の日にこの結果によって(マイヨ・ジョーヌを)得られた。それは総合を狙う選手たちにとって、最初のテストの日だった。本当に気持ちがいいよ。何よりもまず、総合争いの初日というものは、精神的な闘いなんだ。ボクたちはそれに勝ったんだ。ボクたちはこのステージを1位と2位でゴールして、総合でも1位と2位を獲得した。ポートはその順位で順当だった。ボクたちにとって、現時点では本当に理想的なシナリオだ。道のりはまだ長いとわかっている。げれどボクたちは本当にいいスタートを切ることができたよ」と、語っている。彼は総合で最大のライバルであるコンタドールに対し、1週目の終わりでもう2分近いタイム差を付けてしまったわけだ。

 
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しかし、ピレネー初日で思わぬ大敗を喫したのはBMCレーシングだった。若手ホープティージェイ・バンガルデレンは、パイエール峠ですでに集団から脱落し、12分以上遅れてゴールした。一昨年のツールウイナーであるカデル・エヴァンスは、ゴールまで残り7kmでポートのスピードについて行けなくなり、結局4分以上遅れてしまった。このツールで復活を目指すルクセンブルクアンディ・シュレクレディオシャック・レオパード)もエヴァンスとともに脱落。彼は総合で4分遅れとなった。昨年のツールで劇的な区間優勝を成し遂げ、総合10位になったティボー・ピノ(FDJ.fr)は、長年総合優勝できない地元フランス期待のクライマーだが、パイエール峠の下りでメイン集団から遅れてしまい、6分遅れでゴールした。FDJ.frのマルク・マディオ監督は、ベルギーのTV局のインタビューで「ツールは終わった…」と、語っていた。
 
7日はサンジロンからバニェール・ド・ビゴールまで168.5kmで第9ステージが行われる。ピレネー山岳2日目は序盤からアスペット峠、マンテ峠、ペイルスールド峠、バル・ルロン・アゼット峠、ラ・ウルケット・ダンチザン峠という5つの峠越えが続く厳しいステージだが、最後は頂上ゴールではない。(Map:ASO)
 
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■第8ステージ結果[7月6日/キャストル~アクス・トロワ・ドメーヌ/195km]

 
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)5時間03分17秒

 
2 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+51秒

 
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分08秒

 
4 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+1分10秒

 
5 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+1分16秒

 
6 ミケル・ニエベ(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1分34秒

 
7 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+1分45秒

 
8 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+1分45秒

 
9 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+1分45秒

 
10 イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1分45秒

 
11 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+2分06秒

 
15 ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ/アイルランド)+2分34秒

 
17 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+2分34秒

 
18 マイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ/オーストラリア)+2分34秒

 
20 ミハウ・クウィアートコウスキー(オメガファルマ・クイックステップポーランド)+3分27秒

 

 
22 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+3分47秒

 
23 ニコラス・ローチ(チームサクソ・ティンコフ/アイルランド)+4分04秒

 
26 カデル・エヴァンス(BMC/オーストラリア)+4分13秒

 
30 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+6分00秒

 
35 ダリル・インペイ(オリカ・グリーンエッジ/南アフリカ)+7分50秒

 
37 ロベルト・ヘーシンク(ベルキン/オランダ)+7分50秒

 
39 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ/カナダ)+8分15秒

 
56 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+12分15秒

 
59 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ/イタリア)+14分27秒

 
75 トーマ・ボークレール(ヨーロッパカー/フランス)+21分38秒

 
143 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+29分12秒

 
■第8ステージまでの総合成績

 
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)32時間15分55秒

 
2 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+51秒

 
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分25秒

 
4 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+1分44秒

 
5 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+1分50秒

 
6 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+1分51秒

 
7 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+1分51秒

 
8 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+2分02秒

 
9 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+2分31秒

 
10 マイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ/オーストラリア)+2分40秒

 

 
23 カデル・エヴァンス(BMC/オーストラリア)+4分36秒

 
75 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+32分51秒

 
[各賞]

 
■ポイント賞:ペーテル・サガンキャノンデールスロバキア

 
■山岳賞:クリストファー・フルーム(スカイ/英国)

 
■新人賞:ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)

 
■チーム成績:モビスターチーム(スペイン)
 
新城選手の総合タイムが結構離されている感じがしてきます。