『GODZILLA 星を喰う者』×『機動戦士ガンダムNT』スペシャルコラボの真相


ともに最新作が11月に劇場公開される『GODZILLA 星を喰う者』(9日)と『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(30日)のスペシャルコラボ決定のニュースは両者のファンだけでなく、大きな話題を呼んだ。日本を代表する2大キャラクターはどのように出会い、今回のコラボの先にどんな未来を見つめているのか。東宝ゴジラ関連事業を統括する“チーフ・ゴジラ・オフィサー”大田圭二取締役と、ガンダムを手がけるサンライズおよびバンダイナムコピクチャーズ代表取締役社長の宮河恭夫氏に話を聞いた。


 日本怪獣映画の金字塔、“ゴジラ ”のシリーズ初のアニメーション映画三部作の最終章『GODZILLA 星を喰う者』は、9日からの劇場公開終了後、「Netflix」で世界190ヶ国・地域でも配信される。本作では、歴代最大・体高300メートルの超巨大ゴジラ日本アニメーション界の稀代の脚本家・虚淵玄氏によって新たに解釈されたアニメ版キングギドラ<ギドラ>との激闘が3DCGアニメーションでどのように表現されるのか、注目が集まっている。

 一方、1979年に誕生し、来年40周年を迎える『機動戦士ガンダム』シリーズ最新作にして、『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』シリーズの正統なる続編、宇宙世紀サーガの最新作『機動戦士ガンダムNT』も30日に全国公開。従来のガンダム“ファン”だけでなく、新たなガンダム“ユーザー”の獲得に成功した『UC』。ガンダム史に新たな歴史を刻んだ人気シリーズの続編にも期待が高まっている。

■新しい価値を生み出す掛け算

――改めて、コラボに至った経緯を教えてください。

【大田】2014年に『ガンダム Gのレコンギスタ』のテレビ放送に先駆け、第1話から第3話の先行上映イベントが行われることになり、その配給を東宝で担当させていただき、そこでまずご縁ができました。その時の製作プロデューサーと宣伝プロデューサーが、アニメーション映画『GODZILLA』3部作を担当しておりまして、新作の公開が同月にあって、両作品とも金色の重要なファクターが存在する。何か一緒に盛り上げていけたらと思い、東宝側からコラボレーションを提案しました。

――『GODZILLA 星を喰う者』には金色の高次元怪獣<ギドラ>が登場し、『機動戦士ガンダムNT』には主人公が搭乗する【ナラティブガンダム】のほか、金色に輝く【ユニコーンガンダム3号機 フェネクス】が登場します。ガンダム側はこの提案を二つ返事で?

【宮河】はい、あの有名なゴジラと組めるなら、ぜひやりたい、と(笑)。世の中が「えーっ」と驚くようなことをやっていくって、大事なこと。ゴジラガンダムが組んだら話題になるし、この掛け算なら新しい価値を生み出せると思いました。

――反響は?

【大田】コラボイラストを使用した「クリアファイル付き前売券」を発売したところ、おかげさまで大好評です。ありがとうございます。

■日本を代表するキャラクターゆえの“ご縁”

――今回のコラボに限らず、2018年は何かと、ゴジラガンダムがセットで話題になることが多かったように思います。

【宮河】スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレーヤー1』が4月に公開されて、劇中でガンダムシリーズを象徴する機体【RX-78-2】とゴジラシリーズ屈指の人気怪獣【メカゴジラ】が共演して大きな話題になって、半年後にアニメーション作品の新作でコラボしてと、なんか仕掛けている人がいるみたいだけど、実は、全然いないの(笑)。今年度の「2018年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」をアニメーション作品の「機動戦士ガンダムシリーズ」とキャラクターの「ゴジラ」が同時受賞したのも、いろんな縁がつながった結果だと思いますね。

――ちなみに、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞は、「10年以上継続的に提供されている、広く支持されている商品やサービス」を対象に、これまでとこれからの暮らしを豊かに支える、スタンダードであり続ける力を持ったデザインに贈られるもの。今年度はほかにICカード乗車券の「Suica」や「東京タワー」なども受賞している。

【宮河】ゴジラは生誕65周年を迎える来年、『Godzilla: King of the Monsters 』の全世界公開を控えていますが、ガンダムも今年の「Anime Expo 2018」でハリウッドでの実写映画化に向けた共同開発を発表させてもらいました。こちらも生誕40周年を迎える来年からプロジェクトが動き始められるよう準備を進めています。両作品とも製作はレジェンダリー・ピクチャーズが手掛けるのですが、これもやはり縁なんですよね。

――ゴジラガンダムも移り変わる時代の中で、よくぞ、続いてくれました、という感じもあるのですが。

【宮河】私がバンダイに入社した1981年当時、最初に配属されたのがガンダムのプラモデルの営業でした。当時ものすごく売れていたけど、40年もガンダムの人気が続くなんて、誰も思っていなかったんじゃないかな。10年後のことだって誰もわからないわけで…。ただ、今日すべきこと、明日のためにすべきことを一生懸命やっていったら、40年続いていた、というのが実感。まさかゴジラとコラボする日くるなんて、思ったこともなかったですよ。

 ガンプラだって、売れない時期もあったけどそれでも買ってくださるお客様のために一生懸命できることをしていこうというムードだけは一貫してあった。ガンダムはシリーズとしては続いていますが、タイトルも主人公も世界観もさまざまだったりしますし、続けようと思って続いたのではなく、結果として続いた感が大きいですね。僕としては、100年先にも残したいという気持ちあるけど、残るかどうかは別だと思っています。

■ネットの時代だからこそ“生”の体験ーーという共通認識

【大田】我々は10年間、国内で「ゴジラ」の新作を制作することを休んでいたところで、ハリウッドの2014年公開の映画『GODZILLA ゴジラ』(ギャレス・エドワーズ監督)で再び息をふきかえすことができました。ギネスワールドレコーズ社による「もっとも長く継続しているフランチャイズ映画」として世界記録に認定もされまして、その後の『シン・ゴジラ』(16年、庵野秀明総監督)の大ヒットにもつながりました。

 『シン・ゴジラ』では作品そのものの訴求力はもちろんのこと、応援上映が成立したことが大きな転機になったと捉えています。ゴジラは歴史が長い分、ファンの高齢化が懸念でもあったのですが、応援上映をしたことでハイティーンから20代前半のファンの顔を見ることができました。アニメーション化も新たな挑戦だったのですが、実写に描けないスケール感や世界観の可能性を見出だせましたし、人気声優の起用なども功を奏して、これまで以上に若年層や女性層にもアピールできたと思っています。

――ゴジラガンダムも常に新しい挑戦をし続けたからこその65周年、40周年なんですね。今後、どんな挑戦が待っているのでしょう?

【大田】往年のファンの方々はもちろんですが、『シン・ゴジラ』やアニゴジを楽しんでいただいた若いファンに定着してもらうためにもゴジラとのタッチポイントは増やして行きたいと思っています。ゴジラ映画を毎年のように作ることは現実的ではないのですが、例えば、昨年から11月3日(ゴジラ映画1作目が公開された日)を「ゴジラの日」と制定して、開催している<ゴジラ・フェス>のようなイベントだったり、YouTubeゴジラ東宝特撮)チャンネル立ち上げたり、また新キャラクターとしての「ちびゴジラ」のマーチャンダイジングだったり、新しい展開でファンに喜んでもらえる場を増やし、話題を提供していきたいと考えています。

【宮河】僕らもファン同士をどうやってつなげていくか、は重要視しています。僕自身が音楽ライブ好きなので、ガンダムはもちろんのこと、それ以外の作品でも音楽ライブをバンバンやっているんですが、ネットの時代になればなるほど、生の体験が大事になってくると思っていて。よかった、ここにガンダムのファンいるんだ、僕一人じゃないんだ、という共感。これがすごく重要なんじゃないかと思って、力を入れているところなんです。

【大田】では、いつか2つの「Gフェス」が一緒にできたらいいですね。

【宮河】いいですね。伊福部昭さんの音楽も大好きです。

 今回のコラボイラストを使用した「クリアファイル付き前売券」を両作品の上映劇場ならび前売券販売サイト「メイジャー」で発売中(数量限定)。『機動戦士ガンダムNT』上映館では「ナラティブガンダムとギドラが描かれたクリアファイル」、『GODZILLA 星を喰う者』上映館では「ゴジラ・アースとユニコーンガンダム3号機 フェネクスが描かれたクリファイル」。                 

                 『機動戦士ガンダムNT』×『GODZILLA 星を喰う者』コラボビジュアル(C)2018 TOHO CO., LTD.(C)創通・サンライズ