川崎重工業、次世代の鉄道車両台車「efWING」を開発

 

2013年6月24日
川崎重工業株式会社

世界初、サスペンション機能を持つCFRPフレームを採用した
次世代の鉄道車両台車「efWING」を開発

 川崎重工は、台車フレームの主構造にCFRP※1を採用した次世代の鉄道車両台車「efWING(イーエフ ウィング)※2」を開発しました。CFRPは航空機等に使用されている高い強度と軽さを併せ持つ材料で、台車 フレームにCFRPを採用した鉄道車両台車は世界で初めてです。

 今回開発した「efWING」は、従来の台車では鋼製であった台車フレームの主構造にCFRPを採用し、さらにこのCFRP製台車フレーム にサスペンション機能を持たせてコイルバネを不要としています。台車フレームとコイルバネの機能をCFRP製台車フレームに集約することで、 台車の軽量化と構造の簡素化を図っています。これにより、台車フレームの重量を従来比で約40%削減し、1両あたり約900kgの軽量化とな ることで、走行燃費向上などのランニングコスト低減とCO2排出量の削減に貢献します。

 また、「efWING」は実用化に先駆けてアメリカ鉄道協会運輸技術センター(TTCI:Transportation Technology Center, Inc.)において、約4,500kmの走行試験を実施し、基本性能と走行安全性能を確認済です。特に、サスペンションの機能を持つ弓形のCFRP製台車 フレームは、各車輪がレールに与える力を安定させます。その結果、乗り心地を向上させるとともに、線路不整による輪重抜け※3を従来に比べて 半分以下と大幅に改善して、脱線に対する安全性を向上させることを証明しました。

 「efWING」は感性工学に基づき、性能・外観・コストをトータルにコーディネートしたデザインを採用して おり、洗練された機能美によって次世代の鉄道車両台車を具現化しています。

 今後とも当社は、高い技術力と信頼性をもとに、地球環境の未来に貢献する鉄道車両製品を国内外に提供していきます。

※1 CFRP炭素繊維強化プラスチック
※2 「efWING」:「enviromentally friendaly Weight-Saving Innovative New Generation Truck」の略称
※3 輪重抜け:曲線や線路不整を走行する際、車輪からレールに伝わる上下荷重が減少することであり、 脱線原因の1つ

CFRPを用いた台車が日本で営業運転する車両に搭載されるのが楽しみです。